(その1)
登場人物(2名)
おかでん:分刻みのプランを立て、いつも焦っている人。
おかでん兄:企画立案は全部おかでん任せのナイスガイ。
2001年07月19日(1日目)
今回は南アルプス南部への遠征。海の日をからめた連休は、一年で山がもっとも混む日となっている。梅雨明けで気候が安定している上に連休が確保できるとなれば、老若男女誰もが山まっしぐら、なのは仕方があるまい。ということで、今回の山行は「折角の連休でないと行けない山を目指す」と同時に「登山者激混みで山小屋就寝スペースお一人様1/3畳」とかいう悲惨な状態にならない山域を探すという命題があった。で、いろいろ紛糾しながら検討した結果、セレクトしたのが悪沢岳(荒川東岳)、赤石岳というわけだ。
両方とも「日本百名山」と呼ばれる山。百名山ブームといわれている中で、何故この山域は人の数が少ないのか・・・それはおいおい紹介していこう。
全てのスター トは、ここ「畑薙第一ダム」からとなる。大井川鉄道の終点からさらに上流に行った場所と説明すれば、何となくイメージできるだろうか。ここまでくるのに、静岡駅からバスで3時間。当然、便数は殆ど無い(ハイシーズンでも1日3便)ので時刻表とにらめっこしなければならない。
えっ、「南アルプス」って静岡県にあるの?だって?あるんです、これが。アルプス=長野県ではない。南アルプスの場合、北はJR中央本線小淵沢の近くにある甲斐駒ヶ岳から端を発し、南は静岡県までずずずいと伸びているワケですな。
東京方面から参戦の僕らは、あまりに公共交通機関の時間が悪かったので、レンタカーを借りて畑薙第一ダムまで転がしてきた。登山中はレンタカーを丸二日も放置することになってレンタル代がもったいないの� ��が、それすら気にならないくらいここは交通の便が悪い。
朝7時半、畑薙第一ダム到着。荷物をまとめて、まったりとする。東京を出てから、早5時間が経過。この時点ですでにお疲れ気味。
で、ここから登山開始・・・ではないのが、南アルプスの奥の深さなんである。ここからは、「東海パルプ」の私有地に入るため、東海パルプ社の森林を管理運用している「東海フォレスト」の送迎バスに乗らなければならないのだった。
東海フォレストは、赤石岳界隈の山小屋を静岡県から委託され、一手に管理している。で、ここの送迎バスに乗るためには、東海フォレストが管理している山小屋に二食付きで最低一泊、宿泊する事が条件となる。ではテント持参で自炊という人はどうなるか。ここから先は自分の足で歩きま� ��ょう、というわけ。徒歩で約6時間、これは事実上バスに乗るしかない。
この送迎バス、別にお客様サービス精神旺盛でやっている代物ではない。だから、夏山シーズン到来!登山客殺到!となっても「随時運行」なんて気の利いたことはやってくれない。1日6便、男なら黙ってバスを待て。
「なんだ、1日6便もあれば十分じゃないか」という声があるかもしれない。「山に行くのに贅沢言ってはイカン」とオコラれるかもしれない。確かにそうだ。でも、我々はこのバスの終着点に行くのが目的なんじゃない。終着点のさわら島からさらに奥にある山小屋まで前進しようとすれば、6便の内役に立つ便というのは限られてしまう。たとえば、我々が今日目指す千枚小屋に行こうとすれば、朝8時10分の始発便に乗るしか手がない。
東海フォレストのバスがやってくるまでの間、待合いベンチで朝食。
しばらくしたら、バスがやってきた。乗車する時に、今日の宿泊場所を聞かれた上で4000円の「クーポン券」を購入させられた。バス乗車券の代わりとなるものだが、この券を山小屋に見せると4000円分の割引になるという。
運転手は頻繁にどこかと無線交信している。登山客の数と、それぞれの山小屋での宿泊者の数を報告していた。遭難防止のための情報収集と同時に、山小屋の宿泊準備にも使うのだろう。
ここから約1時間のバス旅。ダートロードで、バスの最後尾に座っていた我々はあまりの激震に右へごろごろ左へごろごろ。こりゃ、確かに一般車は立ち入りできんわ。バスのサスペンションがみしみし悲鳴をあげている。おい、大丈夫か?< /p>
さて、いくら「送迎バス」だからといって、今晩お泊まりの宿の前までご案内〜というわけでは当然ない。
到着したのは、畑薙第一ダムからさらに1時間山奥に入った「さわら島」という場所。ここが本当の登山基地だ。
元々、東海パルプの伐採基地だったところを登山用にも解放しているらしく、山の中とは思えない開放的な雰囲気の中、施設があちこちに点在している。
ザックを確認してみたら、背中に刺していた飲料水用のペットボトルが行方不明になっていた。どうやら、送迎バスの激震に驚いて、どこかに雲隠れしてしまったらしい。
水がないと登山にならないので弱り果てていたら、そこはさすがにさわら島。ジュースの自動販売機があった。ペットボトル3本購入。
兄 「待て、4本あるぞ� ��この左端の色の濃いのは何だ?」
おかでん 「・・・ウィスキー」
兄 「けっ、そんなのだけは絶対に落とさないんだな!」
さわら島はもの凄く居心地の良い空間だった。
テントを張るスペースもあるし、食堂もあるし(写真奥の建物)、避暑をかねてキャンプをするのもいいなあ・・・と思わせる、そんな場所。
っとっとっと、山小屋で一泊二食しないと、送迎バスに乗れないんだっけ。
結局、このあたりの山に登る場合
山が深いので最低1泊(通常2泊以上)しないといけない→天幕で寝泊まりするのも良いのだが、そうすると送迎バスに乗る資格が与えられない。これは致命的→結局、登山者のほぼ全員が山小屋泊という事態になってしまう→要所要所の山小屋、激混み→うわぁぁぁぁ
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